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『アフガン』 [戦争映画]

『アフガン』
(原題:『第9中隊』)
2005年公開 F.ボンダルチュク監督
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舞台は1988年のソ連。志願兵として入隊した若者たちは厳しい訓練を経て、アフガニスタンへの侵攻軍に加わる。砂漠と岩山しかない国で彼らが戦う敵は、不十分な補給、そして住民と見分けのつかない武装勢力。第9中隊は高地に陣地を築くが、敵勢力の総攻撃に晒されてしまう。


序盤の流れは、ソ連版『フルメタル・ジャケット』と言うべき内容。ごく普通の青年たちが訓練所に集められて丸刈りにされ、厳しい鬼軍曹にボコボコにしごかれます。「ソビエト空挺軍は?」「人民の羨望の的、理想であります!」「では貴様らは?」「訓練大隊、特に貴殿の恥であります!」というどっかで聞いたようなやりとりも。ところがこの鬼軍曹殿、本家のハートマン軍曹よりもだいぶ人間味があり、いい味出してます。いつもしごきまくっている新兵の特技を知って個人的な頼み事をしてみたり、いざ出征の時に自分が一緒に行けないと知ってメソメソ泣いてしまったり。
『フルメタル・ジャケット』では訓練を経て新兵がどんどん人間味を失い、兵器の一部に成り果てていくのに対して、本作では仲間(さらには鬼軍曹まで含めた)との絆が強調されます。さわやかな青春群像。

さてアフガン入りの後は悲惨なシーンが続く…かと思いきやそうでもない。不毛の大地でいつ来るとも知れない補給と敵襲を待ち続ける日々。それでも退屈しないのは、合間に挟まれる魅力的なエピソード(緊迫感を高めて画面に引き込むのがすごく上手い)と、時おりドーンと広がる雄大な山岳風景(ただただ美しい)のおかげ。

大規模な戦闘シーンは3回あります。ソ連補給部隊の車列への襲撃、その報復としての地元村落破壊、最後に中隊が守る高地を敵の大勢力が総攻撃。戦闘の様相がそれぞれ異なることもあり、いずれも見どころ満載。ロシア国防軍が協力しているそうで、実物兵器も多数出演しますが詳しくは後述。


戦争の理不尽さ・過酷さを描きながらも、それでもうまいことやっていく若者の逞しさ・友情の素晴らしさ。ただしハリウッド映画のような陽気な英雄主義だけではなく、戦闘がおこるたびに容赦なく仲間が死んでいく悲惨な現実。それらと対比するかのような、美しい山岳風景と落ち着いた音楽。全体的に、非常にバランスのとれている良作だと感じました。
この前日にバランスもクソもない駄作を見たせいで幾分補正がかかっている可能性は捨てきれませんが…。


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★★★★☆
模型モチベ刺激指数は 4点(5点満点)

陸・空ともに多数の兵器が登場。
訓練所でも戦場でも、最も目立っていたのは主力戦車T-72でした。さて活躍するかというと、主砲を発射する機会はなかったり、せっかくリアクティブアーマーを装備しているのに対戦車ロケットであっさり履帯を破壊されたりとちょっと微妙。まぁゲリラ戦じゃしょうがないよね。キットはタミヤ、DRAGONなどから多数リリースされています。
空で強烈な存在感を誇ったのは攻撃ヘリMi-24D(ハインドD)です。2つ直列で並んだ丸キャノピーがチャーミングな彼は、対地攻撃においてロケットランチャーとガトリングガンで悪魔的な攻撃力を発揮。スティンガーミサイルをぶち込んでくる不逞の輩も登場せず、ハインド無双状態でした。タミヤ(中身はイタレリ)の1/72でこれまで少なくとも2回は作っていますが、またやってみたいな…



こんなモデラーさんにオススメ
・T-72主力戦車
・BRDM-2(丸い機関砲塔が付いた4輪の偵察装甲車)
・BMP-2(台形の機関砲塔が付いた履帯式の歩兵戦闘車)
・BM-21(村落を焼き払う自走多連装ロケット砲)
・Mi-24D

ざっと目についただけでもこれだけあります。赤いモデラーの人にはきっと眼福な映画。
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