完成

1/350　MINICRAFT　カティサーク　完成しました。

1834年に東インド会社のアジア貿易独占が終わると、多くの船主がアジアとヨーロッパの貿易に参入しました。中でも中国産の茶葉をいかに早くイギリスへ届けるかを競う『ティーレース』は世間の注目を集め、勝者は莫大な利益と名誉を手にしました。紅茶専用の高速輸送船、ティークリッパーとして建造されたのがカティサークです。

カティサークは1869年11月22日に進水。細長い船体は外洋での高速発揮に役立ち、中国の紅茶を最短107日でロンドンまで届けることができました。ティークリッパーとして極めて優秀な成績をおさめましたが、ティーレースの勝者となることも、輸送日数の新記録を更新することもありませんでした。

折しもカティサーク就役の1869年にスエズ運河が開通。スエズ地域はほぼ無風のため、アジアーヨーロッパ間輸送の主役は帆船から蒸気船へと急速に移行していきました。カティサークは1878年に紅茶輸送から引退し、以降はアメリカや英国植民地とロンドンを結ぶ航路で輸送業務に従事しました。
1936年以降テムズ大学の航海学校で練習船となり、さらに1957年からはテムズ河畔にて保存されることとなりました。現在も一般公開され市民に親しまれています。

初めての帆船プラモでしたが、メタルリギングによる張り線、帆布の再現、海面の表現など色々と技法を試すことができました。

乾杯用のスコッチウィスキー

ちょっといいやつを奮発しました。

こちらはいつもの安いやつ。


紅茶運搬船ということで、お茶を一服。

数千年続いた帆走技術の粋を集めた船が、戦争でもスポーツでもなくお茶の輸送に使われたというのは大英帝国の余裕を感じるようでいいですね。いつかは木製の帆船模型にも手を出してみたいなぁ。

細部仕上

いよいよ大詰めです。艦船模型の仕上といえば旗と紋章！

マストトップに掲揚するイングランド旗を作ります。

やはり材料は書道半紙。赤い十字は油性ボールペンで描いた（書いた？）ものです。手抜きは恥だが役に立つ！ということで。風にはためいている姿にしたかったので、これも洗濯ノリで成型。

ボンドで固定すればこの通り。追い風を受けてます。

艦首飾りの女性像

船名の由来ともなった彼女はスコットランドの魔女で、その妖艶な姿に引き寄せられた農夫を捕まえようと腕を伸ばしています。
しかしキットのままでは余りにブサイクなので、左腕を伸ばしランナーに置き換えて少し細くしました。

他の白色部分と同様に、ホワイトで塗装後エナメルのブラウンでスミ入れして立体感を出してやります。

さあいよいよ完成です！

帆装 その3

メインセイル（主帆）はキットパーツを型にした半紙複製で完了。


両翼に張るスタンスルセイル（補助帆）は作り起こしが必要です。

100均で購入、幼稚園以来20年ぶりくらいの油粘土です。
こんな感じで型を自作します。

サイズを実測してコピー用紙に下書きし、粘土を盛って造形。サランラップでコートしたら、メインセイルと同様に半紙×洗濯ノリで成型していきます。

帆装 その2

帆布の成型方法を再考しました。

水溶きボンドは妙なツヤが出てしまうので、洗濯ノリを使うことにしましたが…


大成功です。途中の写真を撮り忘れるほどにね。

しっかり成型できるのと、型からパリッとはがれる感触。さらにマットな仕上がり。
帆布表現には「書道半紙×洗濯ノリ」がオススメです！

ベース（波の仕上）

荒れる波頭を仕上げます。素材はこちら

タミヤの情景テクスチャーペイント『粉雪　ホワイト』
いきなり純白で塗るのは抵抗があったので、タミヤアクリルの水色を足して下地？に。


この上にハイライトとして純白を置いていくことにしました。

テクスチャーの正体は細かく破砕した大理石だそうです。乾燥するとマットな仕上がりでまさに粉雪という感じ（そらそうよ）。1/350スケールなので無理にクリアーを吹いてツヤ出しをせず、このままとします。

やっと海が完成。青のグラデーションが面白い仕上がりになりました。
ジオラマの巨匠リチャード・ペイン師曰く、「自然の水は水にはならない」と！

ベース（外装）

カトラリーケースはそのままでも十分美しいのですが、さらにひと工夫。

ホームセンターで買ったヒノキの角材を細切れにして貼付けていきます。カティサークは紅茶の運搬船なので、茶葉を入れる木箱のイメージ。板の間隔を一定にし、かつ水平を保つために、0.5mm厚のプラ板をゲージにしています。

何枚も連ねるとどうしても誤差が出てきます。ミニカンナで修正。

これだけズレていました。


天板にも目隠しを。

角は現物合わせで慎重に整えます。

帆装 その1

ティッシュ、油とり紙、色々と候補はありますが、帆布の素材に選んだのはこれ

高級書道半紙でございます。質感、薄さともにちょうどよい。

ただし純白のままではリアリチーに欠けるので、染色することに。

たっぷりの熱湯で紅茶を淹れまして

半紙にひたします。

乾燥中。

風を受けて「ぶわッ」と広がった姿を再現したいので、キットに付属のプラパーツに押し付けて

水溶きボンドで固定。

うーん、ガビガビ感が気になる…

リギング その２

モデルカステンのメタルリギング（1/350用）を使用しました。

マスト・ヤード間に「置く」ような感覚で接着していきます。

長めに切出して、固着してからメタルライン専用のニッパーで余分を切ります。

金属線ですので巻きグセがほとんどなく、なかなか快適に作業が進みます。

快適すぎて


途中の写真撮るのをすっかり忘れましたorz
夢中になって進めてしまった…

リギング その1

いよいよ帆船模型最大の難関、リギング（張線）に挑戦します。
まずはマストを支えるシュラウド。水平方向にロープが張られ、上部へ登るハシゴの役割も果たしています。まずは現物合わせで三角形の型紙を作ります。

型紙を透かして伸ばしランナーをレイアウト。マスキングテープを使って固定します。

並べたら流し込み接着剤で固着。

1日しっかり乾燥させてマスキングテープから取外し、余分を切落とします。

塗装もこの段階で済ませます。


いよいよ船体へ取付け。

強度確保したいので瞬間接着剤を使用。

本当はもっとピン！と張った姿にするべきなんですが…工作方法および素材はまだまだ研究の余地ありということで。

艤装 その2

艦首甲板の手摺も白く塗りました。

両舷の装飾もゴールドで筆塗り。

小物の塗分けを進めます。

トップ及びボート類のフチをダークブラウンで。

その他の艤装品も地道に塗りながら取付けていきます。


使った色は
・ブラウン（木材）
・セミグロスブラック（鋳鉄）
・ゴールド（真鍮）
ですが、考証としてどれほど正しいかは疑問です。